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富山インド協会


2016年 活動報告

日印の関係学ぶ 2氏が講演

 総会に合わせて講演会も開き、公認会計士であずさ監査法人インド事業室の笠間智樹氏(高岡市出身)と富山県国際課の野畑美千子氏が、それぞれの立場から日印の経済や交流について語りました。

① 日本企業のインド進出状況について
 あずさ監査法人インド事業室・公認会計士: 笠間智樹氏

 インド経済はモディ政権下で成長が加速し、実質GDP成長率が7.3%(2014年)となるなど、世界第10位の経済規模になっている。2015年度の国際協力銀行の海外直接投資アンケートでも、長期的有望国としてインドが中国を抜き3年連続トップに輝いた。さらに親日的な国民が多く、準公用語として英語が用いられていることから、日本人にとっては意思疎通が比較的容易で、ビジネスをしやすい環境といえる。

 インドの潜在的な市場は大きいものの、国民は価格に非常に敏感で、好みにあった製品などを把握する必要もある。またインフラが未整備だったり、税制や法制度が複雑だったりと、進出に際しては課題も多い。2015年10月時点の進出日系企業は約1200社で、中国に比べると圧倒的に少ない。市場調査や進出時のスキーム構築、進出後のコンプライアンス対応といった面で専門家のサポートを受けることを勧めたい。

② 富山県とインドとの交流について
 富山県国際課国際交流係長: 野畑美千子氏

 世界第2位の人口を擁するインドは近年、巨大な消費市場と豊富な労働力を背景に、目覚ましい経済成長を遂げている。富山県もこれまで「県ものづくり総合見本市」にインド企業を招いたり、インド映画のロケを受け入れたりしてきた。また富山インド協会や県薬業連合会が視察団を派遣するなど官民を挙げて交流に取り組んできた。

 このような流れを受けて昨年10月、インド・AP州から富山県へ交流協定締結の申し入れがあった。AP州はインド南部の州で、農業や鉱物、自動車、製薬を主な産業としている。新州都建設を契機に発展する可能性が高いほか、港が多く、東アジアからのアクセスにも優れているため、日系企業の新たな投資先、輸出拠点として注目を集めている。州首相も経済政策の推進に積極的だ。こうした観点から、県は昨年12月にAP州と交流協定を締結。経済、医薬品産業、文化、観光、人的および学術交流の5分野を主な柱に、互いに協力していくことを確認した。

 同月には石井知事を団長とした県AP州友好訪問団を派遣し、ナイドゥAP州首相と会談。首都ニューデリーでは、インド商工会議所連合会幹部や日印政府関係者、現地に進出している県内企業代表者らとも意見を交わした。本年度は▽県内企業関係者を対象としたAP州の説明会・視察ツアーの実施▽政府観光局(JNTO)主催の観光説明会・商談会に参加▽AP州訪問団の受け入れ-などにも取り組み、交流を一層強化していきたいと考えている。

AP州とは…

 インド東海岸に位置し、人口約4980万人、面積16万km²。2014年6月に州都ハイデラバードを含む北部地域が分離独立したことから、新たな州都となるヴィジャヤワーダ近郊の開発をはじめ、インフラ整備や産業振興が急ピッチで進んでいます。日系企業の新たな投資先として注目されており、日本政府も都市整備に積極的に協力する方針を示しています。

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