2012年 活動報告
インド経済文化視察団(2012年12月14日~21日)
交流深化 新時代へ 官民一体で取り組み
県内企業に高い関心 FICCIと意見交換
ニューデリーのインド商工会議所連合会(FICCI)で17日に開かれた意見交換会には、富山側からインド経済文化視察団の永原名誉団長、河合団長、石澤義文顧問(県商工会連合会長)、県訪問団団長の石井知事らが出席。インド側は80社以上の現地企業トップらが参加しました。
河合団長が富山インド協会設立の経緯や活動などを紹介し、「政権交代などの影響もあり、日印関係は対中国以上にますます活発化していくだろう」とあいさつ。石井知事が富山の産業や観光について説明しました。
同連合会のアトゥル・シュングル事務副局長は、インドの最新の経済状況について、「中間層の拡大によって、投資環境がますます充実してきた」と説明。現地企業の経営者らは「富山に事務所を設けるにはどうすればいいのか」「富山にインド関係の企業はあるのか」などと積極的に質問していました。
同視察団と県訪問団は、ニューデリー郊外のハリヤナ州にあるYKKインド社のファスナー製造工場も訪問。同社は一定の購買力を持つ中間層の拡大に対応してファスナー製品の生産量を増やしており、厚みを増すインドの内需をターゲットにした企業戦略などに理解を深めました。
八木大使と懇談 在インド日本大使館を表敬訪問
インド経済文化視察団と、県訪問団は16日、ニューデリーの在インド日本大使館を表敬訪問し、八木毅特命全権大使と、インドへの企業進出の可能性や日印交流について意見交換しました。
大使公邸で昼食会が開かれ、同視察団の永原名誉団長、河合団長、中井敏郎副団長(東亜薬品社長)、朝日重剛副団長(朝日印刷会長)、県訪問団団長の石井知事、髙木繁雄副団長(北陸銀行頭取)ら10人が出席しました。
八木大使は、「地方企業の進出が増えれば、日印交流の幅が広がり、結び付きが強固になる」とあいさつ。
石井知事は、県内から13社がインドに進出していることなどに触れ、「県内企業にはインドで大いに業績を挙げてもらい、富山の工場と互いに発展する関係を構築してほしい」と話しました。
舞踊・箏・書 富山の文化を発信
富山とインドとの交流深化へ新たな一歩を踏み出しました。
インド経済文化視察団の舞台公演は12月16日、ニューデリーのFICCIオーディトリアムで開かれ、可西舞踊研究所(高岡市、可西晴香代表)と黒川邦楽院(富山市、黒川真理学院長)のメンバーが、華麗な舞と荘厳な箏の音で現地の観客を魅了しました。
公演を一目見ようと、開演前から現地の人らが長い列をつくりました。舞台は、黒川学院長の独奏による箏曲「さくら」と同舞踊研究所の共演で華やかに幕開け。能の掛け声を発して日本文化の幽玄さを打ち出した「闌(らん)拍子」に続いて、同邦楽院の黒川雅皓(がこう)理事長と若手箏曲家2人が加わり、四重奏「雪月花によせて」を披露。観客は美しい旋律に聞き入りました。
可西舞踊研究所は、和太鼓演奏と富山の民謡に合わせた群舞が特徴の「響きに舞う」を披露。威勢のいい掛け声とともに研究生が次々と登場し、「新太鼓の舞」や「せり込み蝶六」といった九つの場面に合わせたにぎやかな舞を繰り広げました。富山の伝統文化をアレンジした粋な舞台に、客席からは惜しみない拍手が送られました。
公演を鑑賞した現地の観客は「繊細な箏の音と緻(ち)密な踊りが素晴らしい。日本の文化の美しさを実感した」と語りました。
関係発展へ親睦 交流パーティー
インド経済文化視察団は17日、県と合同でニューデリーのホテルで日印国交樹立60周年を記念した交流パーティーを開きました。県内各界のリーダーのほか、在インド日本大使館の塚田玉樹経済公使や、デリー日本人会長でホンダカーズ・インディアの金山裕則社長(富山市出身)、インド日本商工会長でインド三井物産の鈴木愼社長、インド商工会議所連合会(FICCI)のアトゥル・シュングル事務副局長ら約150人が出席。富山とインドの関係発展を願って懇親を深めました。
和太鼓演奏を交えた可西舞踊研究所メンバーの舞が華麗にオープニングを飾り、石井知事が「デリーを中心に各地を視察し、インド進出に向けて多くのことを学んだ」とあいさつ。河合隆団長が「舞台公演は大勢の人に感激してもらった。この機会に一層親睦を深めてほしい」と述べました。
来賓を代表し、アロック・プラサード前駐日インド大使が「河合団長らのインドへの熱い思いに感動した。より強い日印関係を築くことができると確信した」とスピーチ。永原功名誉団長の発声で乾杯し、出席者は歓談しながら情報を交換。黒川邦楽院の黒川真理学院長らが箏を奏でたほか、富山市出身で北陸書道院常任理事の高木雛(ひな)さん(京都市)が書道のパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げました。石澤義文顧問が閉会のあいさつをしました。
商都発展 目の当たり 悠久の歴史にも触れる ムンバイ
インド経済文化視察団は、ニューデリーに続き商都・ムンバイを訪問、世界経済をリードするインドビジネスについて理解を深めました。
ムンバイを州都とするインド西部のマハラシュトラ州の人口は約1億2千万人。工業化が進んだ州の一つとされ、南アジアの経済の中心地として発展しています。一行は18日、マハラシュトラ州産業開発公社(MIDC)を訪問。同州のインフラや日本企業の進出状況などについて説明を受けました。団員たちは、物資の調達方法などについて積極的に質問しました。ムンバイを拠点とする企業グループ「タタ・グループ」のITサービス最大手「タタ・コンサルタンシー・サービシズ」にも足を運び、同社の人材育成の方法や国際展開の戦略について、担当者の説明に耳を傾けました。
19日にはムンバイ湾に浮かぶエレファンタ島も訪れ、彫刻が施された世界遺産の石窟を見学しました。島にはヒンズー教の石窟寺院があり、6~8世紀の作とされる彫刻が随所に刻まれています。団員たちは、高さ6メートル近くあるシヴァ神の上半身像など壁面を埋める神々の彫刻を目の当たりにし、インドの歴史の奥深さに触れました。