富山インド協会


2019年 活動報告

日印交流・経済に理解 文化講演会

 富山インド協会の文化講演会は10月10日、富山市の富山第一ホテルで開き、インドやその周辺国への旅行業務を手掛ける「アサヒトラベルサービス」(東京)社長のマルカス氏が「まだまだ伸びるインド経済」と題して講演しました。

 マルカス氏は1954年、インド・デリー生まれ。旅行会社を経営する傍ら、故立川談志氏に師事し、「立川談デリー」として師匠と漫才コンビを組んだこともある、ユニークな経歴の持ち主です。

 この日の講演会では、日印交流の歴史やインド市場の魅力などについて、ユーモアを交えて説明しました。インドには、労働力として期待できる若年人口が多く、消費意欲も旺盛だとした上で「日本企業はインドと手を結ぶことで、さらに繁栄することができる。両者の懸け橋になれるよう努めたい」と強調。「何から始めていいか分からずに躊躇することもあるだろうが、まずは最初の一歩を踏み出すことが大切。『百聞は一見にしかず』だ」とインドへの来訪を呼び掛けました。

 インド料理を中心にした懇親昼食会もあり、マルカス氏を囲んで和やかに歓談しました。

※以下は講演要旨

「まだまだ伸びるインド経済」

 アサヒトラベルサービス社長:マルカス氏

 1977年に初来日した際、日本を好きになり、日本に携わる仕事がしたいと旅行会社に就職した。インドは仏教発祥の地。日本の仏教関係者や文化人を案内する機会も多く、その一人が立川談志先生だった。「一緒にやろう」と声を掛けられ、ヒンディー語と英語、日本語を交えた漫才に取り組んだ。80年代に入ると、自動車メーカーのスズキがインドに進出するなど、経済分野でも日印の関係が発展し、通訳や視察先のコーディネートを担ううちに、インドビジネスを学ぶようになった。

 インドを理解する上で重要なのは、一つの国と思わないことだ。広大な国土に29の州があり、気候から民族、言語、法律まで地域によって全く違う。カースト制度による差別撤廃運動は進められているが、制度自体は根強く残っていることも心に留めておいてほしい。

 日本とは、仏教を起点に良好な関係が続いている。2000年に「日印グローバル・パートナーシップ」が構築されてからは、両国の首相が毎年相互に相手国を訪問するなど、さらに関係が深まっている。ビジネス上の結び付きも強くなり、インドに進出する日系企業は09年で627社、15年には1200社を超えた。

 14年にナレンドラ・モディ氏が首相に就くと、税制改革をはじめ、全国民に銀行口座の開設や保険加入を推奨するなど、数々の改革が行われた。中でも重要な政策の一つが、国内外企業からの投資を促し、製造業の振興を図る「メイク・イン・インディア」だ。インドは現在、工場や道路、ハイウェイ、地下鉄などが次々と整備され、急速に成長している。また、働き手であり、消費意欲も旺盛な若年人口が多く、巨大なマーケットが形成されている。こうした環境に日本の資金力と技術力を掛け合わせれば、さまざまものが生み出せるだろう。地価がまだ安い今は、進出の好機。政府は日本企業向けに税制優遇が受けられる特区なども設け、インド進出を促している。

 私は、日印の架け橋となるべく、インドのショッピングモールで日本文化を紹介するイベント「こんにちはジャパン」を17年から開催している。今後は日本製商品の展示を目的としたエキスポも開くつもりだ。インドに興味を持ちつつも、何から始めていいか分からない企業も多いだろう。まずは最初の一歩を踏み出すことがとても大切。現地で商品を展示し、反応を見て、さまざまな企業と商談してみてほしい。百聞は一見にしかず。ぜひインドに来てほしい。

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