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富山インド協会


2016年 活動報告

インド映画の魅力紹介 文化講演会

 富山インド協会の文化講演会は11月9日、富山市の富山第一ホテルで開かれました。アジア映画研究者の松岡環氏が「魅惑のインド~ボリウッド映画の魅力を中心に」と題して、インド映画の特徴や歴史を説明。富山県内で撮影された作品にも触れながら、日本とインド映画との関係について紹介しました。

 昼食会では多彩な食材を使った4種類のカレーが用意され、参加者が食べ比べを楽しみました。北日本新聞カルチャーパーク高岡の講師、千代麻理さんが主宰する「ダンススタジオEMOTIONS」によるボリウッドベリーダンスも披露され、会場に花を添えました。

魅惑のインド~ボリウッド映画の魅力を中心に
 アジア映画研究者: 松岡環氏

 インド人にとって映画は特別な娯楽で、一種のコミュニケーションツールになっている。ポピュラーなのは歌と踊りが入ったミュージカル形式だ。そこにラブロマンスやコメディ、アクション、スリル、サスペンスまで「ナヴァ・ラサ(9つの情感)」と呼ばれる、ありとあらゆる娯楽要素が詰め込まれている。上映時間もかつては2時間40~50分が当たり前だったが、近年はシネマコンプレックスの設立などで短縮化が起き、ミュージカルシーンが短くなったり、内容を特定のジャンルに絞ったりといった変化が表れている。

 字幕映画はほとんどなく、観客は自分が普段使っている言語の作品を見る。インドは多言語国家なので、必然的に作品数が増え、2014年度の年間製作本数は、日本500~600本、アメリカ約800本なのに対し、インドは1845本と世界一だった。多くの国がハリウッド映画に席巻される中、インドは興行収入の85%が国産映画で、非常に恵まれた状況と言える。映画業界はテレビや音楽、出版業界なども包括する強大なメディアになっている。

 インド映画は海外にも数多く輸出されている。日本では1926年に無声映画「亜細亜の光」を上映。66年の芸術映画「大地のうた」公開以降は、岩波ホール総支配人だった故高野悦子さんらの貢献もあり、コンスタントに紹介されるようになった。98年の「ムトウ 踊るマハラジャ」や2013年の「きっと、うまくいく」の大ヒットは記憶に新しいだろう。日本でのロケも近年増えており、13年に富山で撮影した作品は、雪景色や桜並木、合掌集落など日本を象徴する景色が多く盛り込まれ、「非常に美しい」とインドで話題になった。

 かつてインド映画と言えば、芸術もしくは娯楽の両極端に振れた作品が多かったが、近年はその中間を取った、良質で日本人の心情にも添うような作品が出てきている。ぜひ多くの方にインド映画を見ていただき、その魅力に触れてもらいたい。

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